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2022.12.28
COLUMN
特定技能「介護」とは? 資格取得の条件や介護分野における他の在留資格を紹介
日本の介護の現場で外国人が働くには、何らかの在留資格が必要です。2019年、介護業界で働ける新しい在留資格として特定技能「介護」が新設されました。今回は、特定技能「介護」の基本情報や資格取得に必要な条件、特定技能以外の在留資格について解説します。
特定技能「介護」とは?
そもそも特定技能とは、国内の人材不足を解消するため2019年に新設された在留資格です。日本では少子高齢化が進み、高齢者が増加している一方で働き手となる人材が減少しています。介護職の有効求人倍率が上昇しているにもかかわらず、介護の現場では職員不足を感じている事業所が多く、さらに介護の現場で働く介護職員も高齢化している点も大きな問題です。そこで、介護分野で能力のある外国人を受け入れて人材不足を解消するための在留資格として、特定技能「介護」が誕生しました。
特定技能には1号と2号の2種類があり、「介護」はより専門性の高い2号にあたります。この在留資格では4カ月または6カ月、1年で更新を行い、通算最大5年まで働けます。特定技能が他の在留資格と大きく異なるのは、業務の制限が少ない点です。対応できる業務が幅広く、例えば技能実習生の在留資格では不可能な一人夜勤も、特定技能「介護」であれば可能です。
特定技能「介護」の資格を取得する条件
人手不足解消のために新設された特定技能の在留資格の取得条件は、従来の他の在留資格よりも緩やかですが、以下の日本語試験と介護技能試験にすべて合格する必要があります。
- 日本語試験:日本語能力試験N4以上、または国際交流基金日本語基礎テスト
- 介護日本語評価試験
- 介護技能評価試験
これらの試験は日本国内のほか、タイやインドネシア、フィリピンなどアジア7カ国でも実施されています。
日本語試験は日本での生活に必要な日本語能力を判断し、介護日本語評価試験は介護の現場で使用される日本語を判断するために実施されます。介護技能評価試験は日本人向けの介護職員初任者研修などの資格とは異なり、特定技能「介護」のための試験です。介護や生活支援技術の基本や理解度を判断するために行われます。
特定技能「介護」の資格を取得するには、基本的に上記3種類の試験に合格が必要です。ただし、介護分野技能実習2号または介護福祉士養成施設修了者、または後述する在留資格「EPA」で介護福祉士候補生として4年間の在留期間を満了した外国人は、十分な日本語能力と介護技能を有していると判断できるため、試験免除となります。
特定技能「介護」以外の介護分野における3つの在留資格
介護分野には特定技能以外にも複数の在留資格があり、それぞれ資格の取得要件や滞在可能期間更新の可否などに違いがあります。対象国が限られる資格もあるので、それぞれの資格の違いを押さえておきましょう。
在留資格「介護」
在留資格「介護」は専門技能を持つ外国人を受け入れるため、2017年9月に新設された在留資格です。まず留学生として介護福祉士養成施設で2年以上学び卒業した上で、介護福祉士の国家試験に合格した人が在留資格「介護」へ切り替えられます。在留期間の上限はなく、最長5年の在留資格を何度でも更新可能です。家族の帯同も可能ですが、高い日本語能力と介護福祉士の国家資格の合格が必要であるため、難易度が高い資格です。
技能実習「介護」
日本の技術や技能を発展途上国へ移転することによる経済発展を目的として実施されている技能実習制度では、介護など幅広い業種で実習生を受け入れています。他の在留資格とは異なり、技能実習として来日するには特別な要件や条件がありませんが、最長5年間の滞在が可能で、1年目に「技能実習1号」、2~3年目に「技能実習2号」、4~5年目に「技能実習3号」と各資格取得前に試験が実施され、合格すると技能の証明ができます。
特定活動EPA
特定活動EPAとは、EPA(経済連携協定)に基づいて実施されており、経済連携協定を結ぶフィリピン、インドネシア、ベトナムの3カ国に限定された在留資格です。在留期間は最長4年で、経済連携に加えて介護福祉士の資格取得を目的としているため、一定期間内に介護福祉士の国家資格を取得しなければ帰国となります。反対に、介護福祉士の資格を取得して「EPA介護福祉士」になれば在留資格の更新に制限はなく、家族も帯同して働き続けられます。
特定技能「介護」から在留資格「介護」へ移行するには?
特定技能「介護」で働けるのは最長5年間で、特定技能の在留資格はそれ以上の更新はできません。しかし、在留資格「介護」に切り替えることにより、引き続き日本で働くことは可能です。
特定技能「介護」から在留資格「介護」に変更するには、要件を満たす必要があります。つまり、介護福祉士の国家資格取得が必要不可欠です。介護福祉士の国家資格の受験には最低でも3年間の実務経験が必要なので、特定技能の在留資格で滞在中に資格取得が求められます。
まとめ
特定技能「介護」は比較的取得要件が緩やかで、外国人の受け入れがしやすい特徴があります。特定技能の在留資格取得者は、介護福祉士の資格を取得できれば在留資格「介護」へ移行し可能なので、今後ますます人材不足が見込まれる介護業界で期待される人材といえるでしょう。
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